右腕のしびれ・重だるさは胸郭出口症候群?|30代デスクワーク女性の症例
今回は、右腕のしびれ・重だるさ・肩こり・寝るときの腕の痛みを訴えて来院された30代女性会社員(デスクワーク)の症例をご紹介します。
✦ 来院時の訴え

患者様は、
- 「普段から肩こりはあるんだけど、最近は右腕が重だるくて気持ち悪い」
- 「痛いようなしびれたような感じが続く」
- 「夜寝るときに腕が痛くて、どっちを向いて寝たらいいか分からない」
とお困りの様子でした。
デスクワークなどで長時間同じ姿勢が続く方に多い典型的な訴えです。
✦ 鑑別テストで胸郭出口症候群を疑う
腕のしびれを起こす原因を特定するため、いくつかの鑑別テストを行いました。
胸郭出口症候群の評価として、
- Morleyテスト(斜角筋の圧迫で症状が出るか確認)
- Adsonテスト(腕の位置と呼吸で神経・血管の圧迫を確認)
- Allenテスト(腕の開きで胸筋による圧迫を確認)
を実施したところ、いずれも症状が誘発されました。
この結果から、胸郭出口症候群(TOS)の可能性が高いと判断しました。
✦ 姿勢評価|ストレートネック・巻き肩・猫背・反り腰

姿勢を観察すると、
- ストレートネック
- 巻き肩
- 猫背
- 反り腰
- 骨盤前傾
といった不良姿勢が顕著でした。
さらに仰向けになると、
- 両肩がベッドにつかない(巻き肩)
- 腰が反って大きな隙間ができる(反り腰)
という状態で、胸郭出口が狭くなりやすい典型的な姿勢でした。
✦ 触診|大胸筋・斜角筋・小胸筋の強い緊張
触診では、
- 首・肩・背中の張り
- 斜角筋・小胸筋の緊張
- 大胸筋の緊張
がみられました。
特に大胸筋の緊張は巻き肩を強め、 胸郭出口で 腕神経叢や鎖骨下動脈が圧迫されやすい状態をつくります。
✦ 胸郭出口症候群とは?

胸郭出口とは、
- 鎖骨の下
- 第一肋骨の上
- 斜角筋・小胸筋・大胸筋の間
に位置する「神経と血管の通り道」です。
ここを腕神経叢や鎖骨下動脈が通るため、 姿勢の乱れや筋肉の緊張によって 圧迫・牽引が起こりやすい構造になっています。
胸郭出口症候群は、この部分で神経や血管が圧迫されることで発症します。
✦ 施術方針|大胸筋の緊張を取ることが鍵
胸郭出口部の斜角筋や小胸筋への施術も重要ですが、 私の経験上、大胸筋の緊張による巻き肩を改善することが症状改善の要になります。
そこで、
- 大胸筋の緊張を緩めること
- 骨盤・背骨・肩甲骨のバランスを整えること
この2点を軸に施術を進めました。
不良姿勢の改善には骨盤の動きが非常に重要なため、 首・肩・背中・胸部だけでなく 骨盤部にもアプローチを行います。
✦ 施術内容|独自の筋膜リリースとストレッチ
■ ① うつ伏せ
首〜背中・肩甲骨まわり・腰・臀部にかけて広範囲に筋膜リリース。
特に、
- 肩甲骨まわり
- 肩甲骨と肩甲骨の間(菱形筋)
- 胸椎〜腰椎の移行部
に強い張りがあり、デスクワーク姿勢の典型的な緊張がみられました。
■ ② 仰向け
首〜鎖骨・胸部・上腕・腸腰筋の筋膜リリースを実施。
右の鎖骨窩〜大胸筋の張りが特に強く、丁寧にリリースしました。
※胸部の施術は、下着で覆われている部分には触れないように配慮して行っています。
■ ③ うつ伏せで腸腰筋ストレッチ
骨盤前傾・反り腰を改善するため、腸腰筋をストレッチし姿勢の土台を整えました。
✦ 施術後の変化
施術後に再度誘発テストを行うと、
- 右腕のしびれはほぼ消失
- 肩が動かしやすくなる
さらに仰向けでは、
- 肩がベッドにつきやすくなる(巻き肩改善)
- 腰の反りが減り、寝やすくなる(反り腰改善)
という姿勢の変化がみられました。
胸郭出口だけでなく、 周囲の筋肉の緊張を広く緩め、姿勢を整えたことが改善につながったと考えられます。
✦ 胸郭出口症候群は「姿勢改善」で大きく変わります
胸郭出口症候群は、
- 巻き肩
- 猫背
- ストレートネック
- 骨盤前傾
などの姿勢の乱れが深く関わるため、 胸郭出口だけの施術では改善しきれないことが多い症状です。
腕のしびれ・重だるさ・肩こりでお悩みの方は、 ぜひ一度ご相談ください。 お身体の状態を丁寧に確認し、最適な施術をご提案します。

